日経新聞: 日米関係の未来(下)「日本外交専門家を育成せよ」

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アダム・リッフ:日米関係の未来(下) 日本外交専門家を育成せよ(日本経済新聞;2024年4月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79785600U4A400C2KE8000 

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[岸田首相が4月10日にワシントンDCを訪問するのを前に、日経新聞(4月5日朝刊)に論説を掲載しました。米国の総合大学で現代日本の外交・安全保障と日米関係に関する専門知識と科目が減ってることに関する私の危機感を伝え、外部からの支援や投資などを呼びかけました。一両日中に、英語版をこのHPに掲載する予定です。[This post links to a Japanese-language op-ed I published in the Nikkei Shimbun on April 5, 2024, on the eve of Prime Minister Kishida's April 10th state visit to the USA. In the weeks before the state visit I hoped to draw attention to the accelerating disappearance of expertise and teaching on contemporary Japanese foreign/security and U.S.-Japan relations at major U.S. universities. Though Nikkei's backlog was such that the op-ed did not get published until a few days before Kishida's visit, better late than never!



書抜き:
岸田文雄首相は4月10日にバイデン米大統領と会談する。中国の台頭、経済安全保障など外交政策上の課題が山積する中で、ワシントンでは日本はインド太平洋における米国の最も重要なパートナーとして見られている。外交政策に関わる人たちから「日本は米国の不可欠な同盟国」と聞くことも珍しくない。経済的な結びつきも強い(図参照)。

しかし米国の学界の過去十数年を振り返ると、正反対の傾向が見られる。教員の世代交代や大学の地域学に対する支援の縮小などにつれて、全米の主要な総合大学で現代日本の外交や安全保障政策、日米関係を専門とする教員のポストや科目が急速に減っている。実際に同テーマについて教える筆者から見ると、このままでは日本が米国にとっても世界にとっても、どれだけ重要な役割を果たしているのかが米国人に十分理解されなくなるのではないかとの危機感を抱いている。。。

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この悪循環が続けば、10~20年後にどうなっているのかは明白だ。にもかかわらず、こうした危機はあまり気づかれていないように思う。現代日本外交や日米関係研究をけん引してきたシニアリーダーたちは、今もワシントン、東海岸や西海岸の有名大学やシンクタンクで活躍しているため、次世代の人材が少ないことに目が向きにくいようだ。  手遅れになる前にこの傾向を逆転させるには、今すぐ米国の学界の財源を大幅に補強する必要がある。。。